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寝屋川市の皆様へ ⼝腔ケアがもたらすメリット④

前回は「健康寿命」について、ご案内いたしました。

今回は口腔機能管理(口腔ケア)がもたらす、医療費への影響についてご案内します。

大学での調査結果について
九州大学が高齢者を対象に歯の喪失が医療費に与える影響を評価する調査を実施したところ、歯の喪失がその後の脳梗塞関連医療費の増加に関連しているが明らかになったという結果が出ています。
これは高齢者において歯・口腔の健康を保持することは医療費の抑制、そして全身の健康の保持につながることが示され、口腔ケアの重要性が改めて確認される結果となっています。

高齢化が進展する現在、国民医療費の伸びは国民所得の伸びを上回っています。
国民医療費の中でも、非感染性疾患に代表される慢性疾患は治療期間が長く、さらに高額な医療技術を要するため、医療費増加の要因となっています。長期・高額な医療を要する必要性は高齢になるほど高くなることから、高齢化が進む我が国では医療保険制度における課題の一つです。

医療費の割合等
2012年度の後期高齢者人口の総人口に占める割合は11.9%であるにもかかわらず、75歳以上後期高齢者医療費は、約13.7兆円、国民医療費に占める割合は35.7%となっています。
この状況を踏まえ国民医療費の多くを占める後期高齢者医療費の増加につながる因子を特定し、効果的な対策を推進していくことが求められています。

口腔ケアがもたらす医療費への影響
大阪警察病院の調査結果において、「がん治療」の医療費が、口腔ケアの実施により、平均15%低くなる結果が出ています。
現在、周術期(手術日を含めた手術前後の時期)口腔機能管理を実施している病院は全体の1割程度であり、国のがん治療の医療費が4.13兆円であることから、口腔ケアの充実で6,000億円規模の効果を期待できます。

歯・口腔の健康を保持することが全身の健康の保持、さらには医療費の抑制に繋がる可能性が考えられます。
歯の喪失は咀嚼能力の低下に繋がり、個人の食品選択、食品摂取に影響を与え、結果として栄養摂取に影響を及ぼします。栄養摂取の偏りで不足になりがちな野菜に多く含まれるビタミン類、また魚に多く含まれる不飽和脂肪酸は抗炎症・抗酸化作用を持ち、その摂取は脳梗塞を含めた多くの炎症性疾患のリスクを下げます。歯の喪失により、総摂取エネルギーにも影響が出て低栄養のリスクも高まります。栄養不良状態では、免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなります。

こうしたことが歯の喪失と医療費の関連の背景にあることが推測されます。
歯・口腔の健康が全身の健康に及ぼす影響を把握し対処することが、我が国の医療費適正化のための一歩となることをご理解いただければと思います。

この記事が書かれた日:2018年12月17日

カテゴリ:口腔ケア

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